今日の臨床ノート 30代男性|リモートワーク環境下で固定化した腰痛症例

① 患者背景・主訴

30代男性。
主訴は腰痛。
産後2ヶ月のお子さんがおり、抱き上げ動作で腰痛が増悪。
日常生活でも歩行時の違和感と疲労感を訴える。


② 初診時の身体所見(構造的観察)

  • 右腸骨筋の収縮が顕著
  • 右股関節からの下肢運動が乏しく、
    右下肢は股関節主導で動いていない
  • その結果、
    • 右足はすり足傾向
    • 代償として前脛骨筋を過剰に使い、つま先を引き上げて歩行
  • 左下肢への依存が強く、左右差の大きい歩行パターンを形成

この時点で
「腰痛=腰局所の問題ではない」
ことは明確。


③ 発症背景の考察

問診および生活背景から、

  • コロナ禍以降の長期リモートワーク
  • 通勤移動の消失
  • 座位姿勢の長時間固定

が続いていた可能性が高い。

本来、
通勤という日常動作そのものが、
股関節・腸腰筋・体液循環を動かす重要な運動刺激

となっているが、

それが失われたことで
30代という若年層であっても、
腸腰筋の収縮固定フェーズ に入りやすくなったと考えられる。


④ 施術方針とアプローチ

まず、

  • 腰筋群
  • 臀筋群

の基本的なチェックを実施。

その結果、

  • 右大腰筋〜腸骨筋の収縮が
    右肝臓領域まで緊張を伝播
  • 横隔膜にも明確な緊張が確認され、
    右大腰筋〜右後脛骨筋までが一つのユニットとして過緊張

と判断。

施術内容

  • 右大腰筋・腸骨筋へのアプローチ
  • 肝臓を含めた内臓—筋膜ユニットの緩和
  • 横隔膜の緊張解除
  • 右下肢のユニット緊張を解放
  • 左下肢に過剰な負担が出ないよう全体バランスを調整

⑤ 施術後の反応

施術後、座位を取ってもらった際に明らかな変化。

患者さん自身が
「楽になった」ことを即座に体感された様子で、

  • 立つ
  • 座る

を何度も繰り返し、
自然と笑顔が出る反応が見られた。

構造が変わった瞬間の典型的な反応であり、
言葉以上に身体が納得している状態。


⑥ 臨床的考察・示唆

この症例から改めて感じるのは、

  • 通勤や移動といった
    日常の「当たり前の動き」が、実は重要な循環刺激である
  • リモートワーク・デスクワーク中心の生活では
    年代に関係なく
    腸腰筋の収縮固定が起こりうる
  • 30代でも、
    環境要因次第で「慢性腰痛予備軍」になる

という事実。

現在は産後育休期間という大切な時期。
腰痛から早期に抜け出し、
ご家族のために身体を使える状態を取り戻していただくこと
が、この症例の最大のゴールである。

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