なぜデスクワークで腰痛が治らなくなるのか-日本人の座り姿勢と腸腰筋の構造的問題
「立っているより、座っている方がつらい」
「デスクワークが続くと腰が重くなる」
「姿勢を正しているのに、逆に疲れる」
こうした訴えは、近年ますます増えています。
腰痛の原因として
「運動不足」「筋力低下」「姿勢が悪いから」
と言われることは多いですが、それだけでは説明がつかないケースが少なくありません。
実はこの背景には、
日本人特有の身体構造 × 現代の座り姿勢
という、構造的な問題があります。
本記事では
なぜ日本人は座るほど腰痛が悪化しやすいのか
その理由を「腸腰筋」という視点から解説します。
椅子に座っている=体を休めている、ではない
多くの方が
「座っているのだから、体は休んでいるはず」
と考えています。
しかし、身体の中で起きていることは真逆の場合があります。
座り姿勢で起きている身体の状態
一般的なデスクワーク姿勢では、
-
骨盤は後ろに倒れやすい
-
股関節は深く曲がったまま
-
背中は丸まりやすい
この状態では、
腸腰筋は縮んだまま、姿勢を支える役割を担い続けます。
つまり、
座っている間ずっと
**腸腰筋は「働かされ続けている」**のです。
デスクワーク姿勢は「現代型の正座」である
ここで、日本人の身体構造という視点が重要になります。
正座とデスクワークの共通点
一見まったく違う姿勢に見える
「正座」と「デスクワーク」ですが、
身体の中では共通点があります。
-
骨盤が後傾しやすい
-
股関節が屈曲位で固定される
-
腸腰筋が短縮位のまま使われる
つまり、
やっている動作は違っても、腸腰筋の状態はよく似ているのです。
日本人は「耐える身体」を持っている
日本人は長い歴史の中で、
-
正座
-
あぐら
-
床での生活
といった姿勢を日常的に行ってきました。
その結果、
腸腰筋で姿勢を支え続けることに適応した身体
を持っています。
問題は、
現代のデスクワークでは
その状態が長時間・毎日・休みなく続いてしまうことです。
姿勢を正しても腰痛が治らない理由
腰痛対策として
「姿勢を正しましょう」
と指導されることは多いですが、
それでも改善しない方が多くいます。
「良い姿勢」が腸腰筋を酷使する場合
真面目な方ほど、
-
背筋を伸ばす
-
骨盤を立てる
-
腹筋に力を入れる
といったことを意識します。
しかしこの姿勢保持を、
腸腰筋で行ってしまうと
腸腰筋はさらに緊張します。
結果として、
姿勢は良く見えるが、体の中では負担が増えている
という状態になります。
姿勢指導で悪化する人の共通点
-
力を抜くのが苦手
-
常に頑張ってしまう
-
無意識に踏ん張る癖がある
こうした方ほど、
腸腰筋が休めなくなり、腰痛が慢性化しやすくなります。
腸腰筋が座り姿勢で壊れると起こる症状
腸腰筋の緊張が続くと、
身体には次のような症状が現れやすくなります。
-
慢性的な腰痛
-
ぎっくり腰を繰り返す
-
立ち上がる瞬間の痛み
-
股関節の詰まり感
-
太もも前側の張り
-
夕方になるほど強くなる不調
これらはすべて、
座り姿勢による腸腰筋の過緊張
から説明できます。
内外整骨院が「座り方指導」を最優先にしない理由
「正しい座り方を教えてもらえますか?」
と聞かれることは多いですが、
内外整骨院では指導を最優先にはしていません。
体が変わらなければ、姿勢は変えられない
腸腰筋が緊張したままでは、
-
正しい姿勢は維持できない
-
無意識に元に戻る
-
頑張るほど疲れる
という状態になります。
そのため、
まず腸腰筋を緩める
その結果として姿勢が変わる
という順番を重視しています。
腸腰筋が緩むと自然に変わるもの
実際に腸腰筋の緊張が取れると、
-
座っているのが楽になる
-
背中を支える力が抜ける
-
呼吸が深くなる
-
立ち上がりがスムーズになる
といった変化が自然に起こります。
こんな方は「座り姿勢×腸腰筋」を疑ってください
-
デスクワーク中心の生活
-
在宅勤務が増えた
-
座っている方がつらい
-
朝より夕方に腰が重い
-
姿勢を意識するほど疲れる
これらに当てはまる方は、
腰そのものではなく
腸腰筋の状態を見直す必要があります。
まとめ
日本人の腰痛は、
単なる運動不足や姿勢不良では説明できません。
日本人特有の身体構造に、
現代の座り姿勢が重なった結果
腸腰筋が休めなくなっていることが大きな要因です。
腸腰筋から整えることで、
-
座ることが楽になる
-
腰への負担が減る
-
再発しにくい身体になる
という変化が起こります。
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