アナトミートレインについて

「アナトミー・トレイン（Anatomy Trains）」は、筋肉や骨、関節といった従来の身体の捉え方とは異なり、筋膜（きんまく）と呼ばれる結合組織のつながりに注目した、新しい身体理解の概念です。これは、アメリカのボディワーカーであるトーマス・W・マイヤーズ（Thomas W. Myers）によって提唱され、2001年に彼の著書『Anatomy Trains』が出版されたことで広く知られるようになりました。

アナトミートレインの概念

従来の解剖学では、身体を「筋肉は個々に独立して働く」と考えられてきました。しかし、実際には筋肉同士は筋膜という薄い膜によって連結されており、まるで一本の道のように全身をつないでいます。これをマイヤーズは「筋筋膜経線（Myofascial Meridians）」と名付け、12本の主要なラインを特定しました。その中には、頭から足まで一直線につながる「スーパーフィシャル・バックライン（SBL）」や、身体の前面を走る「スーパーフィシャル・フロントライン（SFL）」、体側を通る「ラテラルライン（LL）」などがあります。

これらのラインは、体の一部に生じた緊張やゆがみが、別の部位にまで影響を及ぼすことを示しています。例えば、足裏の筋膜の硬さが、首や頭の違和感につながることもあるのです。つまり、痛みや不調の原因は、必ずしもその部位自体にあるとは限らず、体全体の「筋膜のつながり」を見る必要があるというわけです。

歴史と発展

マイヤーズは長年にわたるボディワーク（ロルフィングやフェルデンクライスなど）の臨床経験と、解剖学の研究を通じて、筋膜が単なる組織ではなく、力の伝達や姿勢維持に重要な役割を果たしていることを確信しました。アナトミートレインの概念は、その後、理学療法士、整体師、パーソナルトレーナー、ヨガインストラクターなど、多くのボディワーカーに取り入れられ、実践的な治療・指導に応用されています。

アナトミートレインを用いた施術効果

アナトミートレインの視点を取り入れた施術では、単なる痛みの部位だけでなく、その人の姿勢や歩き方、過去の怪我歴なども総合的に観察します。そして、筋膜のつながりを考慮しながら、必要な箇所にアプローチしていきます。たとえば、腰痛のクライアントに対し、背中や脚ではなく、胸部や足裏のリリースを行うことで改善が見られることがあります。

このような施術は、以下のような効果をもたらします：

• 姿勢の改善：全身のバランスが整い、自然な立ち姿勢や歩行が可能になる

• 柔軟性の向上：筋膜の滑走性がよくなり、可動域が広がる

• 慢性痛の軽減：本来の原因箇所へのアプローチにより、長引く痛みが和らぐ

• パフォーマンス向上：スポーツや日常生活において、身体の連動性が向上

一般の方へのメリット

アナトミートレインは専門家だけでなく、一般の方にも非常に有益な考え方です。自分の身体を「部分」ではなく「全体」として捉える意識を持つことで、普段のストレッチや運動の効果も高まります。また、不調を感じた際に「そこを揉む」のではなく、「つながりを探す」視点を持つことが、根本的な改善への第一歩になるのです。

✅【施術例１】腰痛と足裏の関係（スーパーフィシャル・バックライン SBL）

症状： 慢性的な腰痛に悩む40代男性
検査結果： 腰部に直接的な異常は見られず、姿勢チェックでは前屈でハムストリング（太ももの裏）に強い緊張が見られた。足底筋膜も硬直。

アプローチ：

• 足裏（足底筋膜）をマッサージとリリース

• ハムストリングから仙骨部までの筋膜をゆるめる

• 頭部（後頭部）の軽いリリースも追加

効果：

• 1回の施術後に腰の可動域が拡大

• 3回目には腰痛の頻度が半減

解説：
SBLは足裏から頭までを結ぶライン。足元の筋膜の硬さが、腰部を引っ張ることで痛みを引き起こしていた可能性が高い。

✅【施術例２】肩こりと腹部の関係（スーパーフィシャル・フロントライン SFL）

症状： ひどい肩こりと巻き肩に悩む30代女性
検査結果： 胸の筋膜が縮んでおり、猫背姿勢が顕著。腹直筋にも緊張。

アプローチ：

• 胸部（大胸筋、鎖骨下筋）の筋膜リリース

• 腹部の軽いマッサージで深層筋膜へのアプローチ

• 首前部への軽い牽引とストレッチ

効果：

• 施術直後から肩の可動性が向上

• 継続的に施術することで、姿勢が改善し肩こりが軽減

解説：
前面の筋膜（SFL）が短縮することで、肩や首に過剰な負荷がかかり、肩こりを引き起こしていた。腹部や胸部へのアプローチが肩こり改善につながる好例。

内外整骨院は骨格の歪みねじれにアナトミートレイン理論を絡め、さらに内蔵体壁反射、

仙骨後頭骨のねじれなどを是正することで他ではあり得ない改善実績を積み続けております。

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